家系ラーメンとは横浜発祥のとんこつ醤油ラーメン!特徴と歴史を解説投稿

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とんこつ醤油ベースの濃厚なスープが食欲をそそる「家系ラーメン」。近年どんどんお店が増えており、全国的に人気があるラーメンです。

けれど、「家系ラーメン」という名前はよく聞くものの、実際どんなラーメンなのか知らず、実は食べたことがない、という人も意外と多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、

  • 家系ラーメンの特徴
  • 家系ラーメンの歴史

を紹介していきます。

家系ラーメンとその魅力を知って、ぜひ家系ラーメンを食べに行ってみてくださいね!

1. 家系ラーメンは横浜発祥のとんこつ醤油ベースのラーメ

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家系ラーメンとは、神奈川県の横浜が発祥の、とんこつ醤油ベースのラーメンです。

スープの見た目はクリーム系の茶色で、麺は太め(中太)のストレート、具はほうれん草、チャーシュー、海苔が乗っているのが家系ラーメンの特徴です。

家系ラーメンという名前は、本家である横浜の「吉村家」の名前に「家」がついていたから。

この吉村家から、直系店や派生店がたくさん生まれ、多くのお店が店名に「家」をつけたため、たくさんの「〇〇家」が生まれました。

そこから、吉村家のとんこつ醤油ラーメンを引き継いだ系統のラーメンのことをまとめて「家系ラーメン」と呼ぶようになったと言われています。

2. 家系ラーメンの特徴とは

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家系ラーメンの主な特徴は次の4つです。

  1. スープの味はとんこつ醤油ベース。鍵を握るのは鶏油!
  2. 麺は太め(中太)のストレート麺。濃厚なスープがよく絡む
  3. 具はほうれん草、チャーシュー、海苔の3つでシンプルに
  4. 「硬め、濃いめ、多め」家系ラーメンは自分好みにカスタマイズして楽しむ!

家系ラーメンの特徴を知っておくことで、お店に行った時にその美味しさをより堪能できるようになります。

それでは4つの特徴をそれぞれ見ていきましょう!

2-1. スープの味はとんこつ醤油ベース。鍵を握るのは鶏油!

家系ラーメンの味は「とんこつ醤油」ベース

そこに醤油ダレを混ぜ、とんこつラーメンよりも茶色がかって見えるスープが特徴です。

普通のとんこつよりもクセがおさえられ、濃厚でしっかりした味わいに醤油のキレが合わさり、やみつきになる美味しさ

さらにもうひとつ、家系ラーメンに欠かせない存在が、鶏油(チー油)

鶏からとった油ですが、実は家系ラーメンはとんこつでも醤油でもなく、鶏油で決まる、と言われるほど。

とんこつのガツンとした強い味に、鶏の香ばしい風味と旨みがプラスされ、スープが深みを増します

2-2. 麺は太め(中太)のストレート麺。濃厚なスープがよく絡む

家系ラーメンの麺の特徴は「太く、短く」のストレート麺

うどんのように太い麺は、コシがあり、もちもちとした食感で食べ応え抜群!濃厚なスープがよく絡みます。

麺の硬さは、「硬め・普通・柔らかめ」の3つから選べます。家系ラーメン通の間では「硬め」が人気です。

2-3. 具はほうれん草、チャーシュー、海苔の3つでシンプルに

家系ラーメンの具材はシンプル。「ほうれん草、チャーシュー、海苔」の3つが基本の具材です。

とてもシンプルですが、これら3つのどれが欠けても家系ラーメンとは言えない!というくらい、それぞれの具がなくてはならない存在です。

2-3-1. スープの旨味を吸い込む、くたっとしたほうれん草

ラーメンにほうれん草?と意外に思う人も多い、ラーメンのトッピングとしては珍しいほうれん草。

でもこのほうれん草が、実は家系ラーメンの影の立役者となっています。

くたっとしたほうれん草をスープにひたひたに浸らせ濃厚スープを全身に吸収させたほうれん草を口に運ぶ

噛み締めた時に口の中に広がるスープの旨味と、ほうれん草の甘みと苦みのコンビネーションがたまりません。

あまり浸らせないで食べると、お口直しの役割も。濃厚なスープで少しお疲れの口に、さっぱりと癒しを与えてくれます。

その美味しさから、「ラーメンにほうれん草」に魅せられて家系ラーメンを食べにいく人もいるほど。

家系ラーメンの引き立て役として欠かせない存在となっています。

2-3-2. お店ごとの特徴が出るチャーシュー

ラーメンの具として欠かせないチャーシュー。

家系ラーメンのチャーシューは、お店によって特徴が違います。

モモ肉のスモークチャーシューは、プリッとした食感で、たまにふわっと香るスモークの香りが嗅覚を刺激します。

煮豚を使用しているお店も多く、ほろほろの食感や分厚く食べ応えのあるお肉が食欲をそそります。

チャーシューをトッピング追加してご飯と一緒に食べるのも人気。

スモークと煮豚、どちらも揃えているお店もあるので、食べ比べる中で自分の好みを探してみるのもおすすめです。

2-3-3. 正方形で大判の海苔はカスタマイズの主役

家系ラーメン、もうひとつのトッピングは、海苔。

正方形で大きめの海苔が3枚ほど乗っているお店が多いですね。

海苔の分も多く吸われたスープを一緒に楽しむことができ、麺だけで食べるよりも濃厚さを存分に味わえます。

さらにこの海苔、ごはんと一緒に食べるという最強カスタマイズもあります。

家系ラーメンのカスタマイズ方法については別記事で詳しく紹介していきますね!

2-4. 「硬め、濃いめ、多め」家系ラーメンは自分好みにカスタマイズして楽しむ!

濃厚なスープがしっかり絡む麺に、シンプルな3種類の具材。

これだけでも家系ラーメンはしっかりおいしいのですが、家系ラーメンはカスタマイズして楽しむのがおすすめです!

まず王道のカスタマイズとして、スープの濃さ、麺の硬さ、油の量を選ぶところから始めましょう。

味の濃さ:濃いめ・普通・薄め

麺の硬さ:硬め・普通・柔らかめ

油の量:多め・普通・少なめ

注文する時に「ご希望ありますか?」「麺の硬さはどうしますか?」と聞いてくれるお店が多いので、自分の希望を伝えましょう。

家系ラーメン好きの間で鉄板の組み合わせとされているのが、「硬め、濃いめ、多め」

「麺硬め、味濃いめ、油多め」の最強トリオです。

「硬め、濃いめ、多め」じゃなきゃ家系ラーメンじゃない!という極端な人までいるそうです。

家系ラーメン初心者の方や、初めて行くお店の場合は、とりあえず「普通・普通・普通」で、そのお店の味をよく知ってみるところから始めることをおすすめします。

その他、家系ラーメンにはたくさんの食べ方があります。

  • ニンニクや黒胡椒、豆板醤を入れて食べる
  • 海苔にご飯を巻いて食べる(ライス無料のお店が多い)
  • 麺の上にニンニクをのせ、海苔に巻いて食べる

など、バリエーションさまざまなカスタマイズ方法がたくさんあります。

家系ラーメンの食べ方については別記事で紹介していきます。

3. 家系ラーメンの歴史。直系店・資本系と海外進出

魅力たっぷりの家系ラーメンの深い味わい。どんな歴史をたどってきたら、これだけの魅力で多くの人の心を鷲掴みにすることができたのでしょうか。

ここからは、家系ラーメンの歴史と現在を見ていきましょう。

3-1. そもそもなんで「家系」って呼ばれるの?

家系ラーメンと呼ばれる理由はずばり、家系ラーメンの総本山であるお店の名前が「吉村家」だったからです。

吉村家のおいしさに魅せられた人々が、直系店や派生店をつくり、「吉村家」の味にルーツを持つラーメン屋の多くが、そのお店に「〇〇家」という名前をつけたことから、「家系」ラーメンと呼ばれています。

読み方は「いえけい(家系)ラーメン」です。

3-2. 総本山は横浜にある「吉村家」

家系ラーメンと呼ばれる元となった家系ラーメンの総本山は、神奈川県・横浜市にある「吉村家」。

家系好きで知らない人はもちろんいない、伝説のお店です。

店主・吉村実さんは、1974年に横浜の新杉田に吉村家を創業。

吉村さん、実はもともと、トラックの運転手をしていましたが、ある日「東京の醤油ラーメン」と「九州のとんこつラーメン」を掛け合わせたらおいしいのでは?と思いつき、考案したのが、吉村家のラーメンだったそう。

当時お店を構えていた新杉田エリアには肉体労働で働く人が多く、吉村家の濃厚で食べ応えのあるラーメンはすぐに人気になりました。

早朝から店主自らが仕込むスープ、そこに美しく黄色がかった鶏油が浮かび、香るスモークチャーシューの薫香…

家系ラーメンを知るために、一度は味わっておかなければならない、全国の家系ラーメンの頂上に君臨する総本山の味わいです。

現在は横浜駅西口に店を構え、1日1,500人もの人が吉村家のラーメンを食べるために日本中から足を運びます。

参考:吉村家 「家系総本山」とは

3-3. 「直系店」への険しい道のりと「資本系」の台頭

吉村家のラーメンに魅せられた多くの人が、このラーメンを広めるために吉村家へ弟子入りしました。

弟子の総数はなんと孫弟子も含めると300人にも及ぶとか!

そういった弟子たちが吉村家の味を全国へ広めるべくお店を出し、吉村家の味にルーツを持つラーメン店がたくさんできました。

そういったお店のことをまとめて「家系ラーメン」と呼びますが、家系の中でもさらに、「直系店」「資本系」など、ジャンルがわかれています。

3-3-1. 吉村家の直系店は日本全国に現在6店舗のみ

家系ラーメンの総本山である吉村家の「直系店」は、吉村家の味をしっかり引き継いでいるとされ、他の家系ラーメン屋とは一線を画しています。

直系店になるには、吉村家で厳しい修行を積み、自分のお店を出し、吉村家の店主・吉村さんに認められなければなりません。

現在、総本山である吉村家がその公式サイト上で「直系店」と認めるお店は日本全国に6店舗あります。(2022年4月現在)

参考:吉村家 直系店舗のご案内

以前は四天王と呼ばれていたのに吉村家店主との仲違いで直系から外されてしまったお店や、閉店となったお店もあるそう。

吉村家の直系店には次のような他店との違いがあります。

  • 吉村家からの「家訓」が貼られている
  • 直系店のみに使うことが許された「酒井製麺」の麺を使用
  • 直系店のみに使うことが許された「酒井製麺」の麺を使用

家系ラーメンをよく知るためにも、少なくとも一軒は直系店へ行って、オリジナルを味わっておきたいところですね!

3-3-2. 多くのチェーン店を構える「資本系」の台頭

資本系の「武骨屋」

一方、総本山から派生した直系店ではなく、大手飲食企業が運営する、多くのチェーン店を構えるお店を「資本系」と呼びます

吉村家が職人の味にこだわる一方、資本系は、セントラルキッチンで麺や具材を作ることで、どの店舗でも味にばらつきなく、安定したラーメンを提供することができます。

例えば、資本系である「町田商店」は全国最大規模のチェーン店で、日本国内に90店舗ものお店を持っています。最近では海外進出もしており、ニューヨークやロサンゼルスにも出店。

家系ファンの中には、資本系を家系だと認めないような人もいますが、資本系の台頭のおかげで全国、そして世界に家系ラーメンが広がったのも事実ですね。

3-4. 現在は日本全国に広まる家系ラーメン。海外でも人気!

現在では、総本山「吉村家」にインスパイアされてできた家系ラーメン店は国内に多数あります。

発祥の地である横浜市には150店舗もの家系ラーメンがあると言われていますが、全国でどれだけの家系ラーメン店があるのかははっきりしていません。

というのも、「とんこつ醤油に太麺、具は3つ」という家系の基本から、アレンジして自己流の味を生み出したお店も多く、もはや「家系」の定義はあいまいになってきているのです。

同時に、海外進出も進む家系ラーメン。

wikipediaによると、家系ラーメンを提供するお店は日本とアジアに1,000店舗ほどあるとされています。

しかし、これは2013年時点の情報なので、現在はもっと増えていることや、アジア以外の国にも広がっていることが予想できますね。

実際に、アメリカのニューヨークやロサンゼルス、ヨーロッパにも家系ラーメン店があります。

4. いろんなお店を食べ歩いてお店ごとの特徴を楽しもう

カスタマイズ方法が多く、食べ方もたくさん楽しめる家系ラーメン。

さらに、オリジナルの味を守るお店や、独自の美味しさを追求するお店など、それぞれのお店が特徴を持っています。

ぜひいろんなお店に足を運んで、それぞれのお店のこだわりを味わい家系ラーメンを堪能してくださいね!