ラーメン屋のクチコミやラーメンのレシピを見ているとよく出てくる「かえし」という言葉。皆さんはこの言葉が何を指しているのか知っていますか?
「かえし」とは、ラーメンのスープの「タレ」のことです。
ラーメンのスープは、「かえし」だけでなく、他にも「ダシ」や「香味油」といった3つの要素からできており、それぞれの要素にこだわることで絶品ラーメンが完成します。
この記事ではラーメン「かえし」の意味や、ラーメンを美味しくする要素「ダシ」や「香味油」についても詳しくご紹介していきます!
1. 「かえし」はラーメンのスープの「タレ」のこと
「かえし」とは、ラーメンのスープの「タレ」のことです。
「醤油ダレ」や「塩ダレ」など、タレ(=かえし)は味がついており、それを「ダシ」で割ることでラーメンのスープが完成します。
「醤油ラーメン」や「塩ラーメン」というラーメンの種類の名前は、スープの味から来ていると思っている人も多いかもしれませんが、厳密に言うと「醤油ダレ」や「塩ダレ」といった「タレ」の味から来ています。
2. スープを構成するのは「ダシ」「かえし(タレ)」「油」の3要素
ラーメンのスープは3つの要素によって構成されています。
- ダシ
- かえし(タレ)
- 香味油
ラーメンのスープ=ダシ+かえし(タレ)+香味油
ということです。
ラーメンにとって、スープは命。ラーメンの味を決める、最も重要な部分と言えます。
お客様に満足してもらえるスープを作るため、各ラーメン店は独自の配合でダシ、かえし(タレ)、香味油の3つの要素をこだわり抜いて作っています。
2-1. ダシ
ラーメン屋に行くと、大きな鍋で何かをグツグツ煮込んでいるのを見たことがありませんか?あれがラーメンのスープのダシを煮出している姿です。
ダシを何からとっているかで、ラーメンの風味全体が変わってきます。
ダシの種類は、大きく2つに分けることができます。
- 白湯(ぱいたん)
- 清湯(ちんたん)
2つの違いと、それぞれに使われる材料を見ていきましょう。
2-1-1. 白湯(ぱいたん)
白湯は文字通り、白いダシ。透明ではなく、白く濁った出汁です。味わいはコッテリ、しっかりしています。
動物の骨が粉々になるまで煮込むことで取れるダシなので、色は白く、味は濃くなります。
白湯には次のような種類があります。
・豚骨
とんこつラーメンのベースとなる出汁。「ゲンコツ」と呼ばれる、豚の大腿骨を強火で長時間煮込んでとります。
ゲンコツだけでなく、豚の頭や背ガラを使ってダシをとることも。
・鶏の骨
鶏の骨からとったダシもラーメンに使われます。「鶏白湯ラーメン」がその代表です。
鶏ガラを長時間煮出してとるダシは、豚骨よりも優しい風味。生姜やネギなどを一緒に入れて煮出すことがよくあります。
2-1-1. 清湯(ちんたん)
清湯もその文字通り、透明で透き通ったダシのこと。
清湯のダシをとる時は、骨が崩れるまでは煮込まないため、色に骨髄が溶け出すことなく、色は透明のまま。味わいもあっさりとしたものになります。
清湯には次のような種類があります。
・豚骨
とんこつラーメンと聞くと白いスープ=白湯だと思いがちですが、豚骨を骨が崩れるまで煮込まず、沸騰させずに煮込むことで、豚骨から透明なダシをとることもできます。
・鶏ガラ
豚骨同様、こちらも沸騰させずにとろとろに煮出すことで、エキスだけ抽出され、色は透明のまま、味はしっかりとした透明のダシになります。
・和風だし(かつお節などの節類)
かつお節や昆布などから取れる、香り高く旨味の深いだしです。
2-2. かえし(タレ)
ラーメン屋でラーメンを作っている時、ラーメンの器にソースのようなものを入れて、そこにスープを入れているのを見たことがありませんか?
そのソースのようなものが「かえし(タレ)」です。
かえし(タレ)は、ラーメンの味を大きく左右します。そのため、「醤油ラーメン」や「塩ラーメン」など、タレの味がラーメンの名前になっているものも多いです。
ダシと同じくラーメンのスープを作る重要な要素なので、お店によってタレを作るレシピや使う具材も違い、特製のタレがそのお店のラーメンの味を決めています。
タレの種類はいくつかありますが、代表的なものを紹介します。
・醤油ダレ
「醤油ラーメン」に使われる、醤油ベースのタレ。
醤油にニンニクや生姜、酒などを加えて煮込む作り方が一般的で、それぞれの量をどのくらいにするかによって、オリジナルのタレの味を作ることができます。
それ以外にも、長ネギや干ししいたけ、昆布などを入れて、味に深みを出すレシピも。
・塩ダレ
塩ダレは、塩を用いて作られるタレで、塩ラーメンのベースになっています。
醤油や味噌といった調味料はすでに味がついていますが、塩には塩分しかありません。
なので、塩だけでタレを作るのではなく、他の材料や調味料の配合がとても重要です。
そのため、塩ダレは作るのが難しいタレと言われています。
- 昆布
- かつお節
- 酒
- 醤油
- みりん
といった材料や調味料を加えることで、「ただの塩の味」ではなく、塩ダレに味わいや深みが生まれます。
・味噌ダレ
味噌を用いて作る「味噌ダレ」。味噌ラーメンに使われるタレです。
味噌ダレを作るときには、酒や醤油といった調味料を使う他、一味唐辛子やラー油を入れる場合も。これで「辛味噌」ダレの出来上がりです。
味噌自体が、しっかりと味がついた調味料なので、ダシが薄いと味噌が勝ってしまいます。そのため、こってりめのダシと合わせられることが多いです。
タレとひとことで言っても、お店やレシピによってさまざまな具材や調味料が入っており、その配分も異なります。
どのお店も思考錯誤して、独自の味を決めているのですね。
2-3. 香味油
ラーメンの最後を彩るのが、香味油の存在。
ラーメンのスープの表面に浮かぶ油が、食べる人の食欲をそそりますよね。
香味油には次のような種類があります。
・背脂
豚の背中の脂身。コッテリ系のラーメンのスープと合います。
・ラード
背脂と同じく、豚の背中の脂身ですが、それを加熱し溶かして油だけを抽出したものです。
・鶏油(ちーゆ)
鶏から抽出された油。家系ラーメンには必須の要素です。
2-4. ダシとタレの組み合わせがラーメンの名前になることも
ラーメンの名前は、基本的にはダシもしくはタレの名前からきています。
とんこつラーメン←豚骨ダシ
醤油ラーメン←醤油ダレ
塩ラーメン←塩ダレ
一方、ダシとタレのコンビネーションがラーメンの名前になっているものも。例えば、
とんこつ醤油ラーメン=とんこつダシ+醤油ダレ
煮干し塩ラーメン=煮干しダシ+塩ダレ
など。
とんこつ醤油って、とんこつなの?それとも醤油なの?と思っていた人、いませんか?
とんこつはダシ、醤油はタレなので、この2つが組み合わさることで「とんこつ醤油」が生まれるのです。
3. 「かえし」は元はそば用語
この「かえし」という言葉、実はもともとそばに使われている「煮かえし」という言葉からきています。
醤油やみりん、砂糖を混ぜて寝かした「かえし」。それをダシで割ったものが、そばつゆです。
お店によってこの3つの材料の比率は異なり、それによって味も大きく変わってくるので、「かえし」は蕎麦屋にとっても、お店の特徴が出るとても重要な要素です。
4. 「味濃いめ」とは「かえし多め」のこと
ラーメン店でカスタマイズするときに、「油多め」や「麺固め」とともによくカスタマイズされるのが「味の濃さ」。
この「味の濃さ」はどのように調整しているかというと、「かえし(タレ)」の量を多くしたり少なくしたりすることによって行っています。
味濃いめを注文すると、かえしが通常より多めに入ってくる、ということですね。
5. そのお店特製の「かえし」がラーメンの味を決める
ラーメンのスープの味を決める「かえし」。
かえしの作り方はお店によって異なり、ラーメン店はそれぞれ、こだわりのかえしで作ったラーメンで勝負しています。
今度ラーメン屋に行くときは、厨房に注目してかえしやダシを入れるところを観察してみては?