海外のラーメン事情|ラーメンが世界的に人気な理由や味・価格の違いを解説

ramen 記事

海外在住の日本人が「日本食で恋しいもの」の話をすると必ずといっていいほど挙がるのが、ラーメン。時々無性に食べたくなる中毒性がありますよね。

ところで、ラーメンは海外でもよく食べられているのでしょうか?ラーメンについて、海外の人たちはどう思っているのでしょうか?

ということで今回は、海外のラーメン事情を次のポイントからご紹介していきます!

  • 海外のラーメン事情。人気の味は?
  • 日本のラーメンと海外のラーメンの違い
  • 海外でラーメンが人気な理由
  • 海外でラーメンが人気な理由
  • 海外進出している日本のラーメンチェーン店

日本のラーメンと海外のラーメンの違い

それでは早速、海外のラーメン事情を探っていきましょう!

1.海外でもラーメンは人気!

kokuramen

ラーメンは今、海外でも大人気!ここ数十年で、世界各地で「ラーメンブーム」が起きるくらい人気です。

昔から日本食といえばお寿司や天ぷらの認知度が高いことは有名ですが、2013年にJETROが行った調査によると、外国の人の「好きな日本食」としてラーメンは第4位に挙げられています。

「好きな日本料理メニューはどれですか?」
1位:寿司(刺身含む)2位:天ぷら3位:焼き鳥4位:ラーメン
参照:JETRO「日本食品に対する海外消費者意識アンケート調査(中国、香港、台湾、韓国、米国、フランス、イタリア)7カ国・地域比較 」

ラーメンの知名度は世界でも確実にあがっているようですね。

1-1.海外のラーメン店は2,000店舗を超える

新横浜ラーメン博物館の2015年の記事によると、海外には2,000店舗以上のラーメン店があるとされています。

同社の2013年の記事では、海外のラーメン店は1,000軒以上あるとされていたので、2年の間で海外のラーメン店の数は倍になっています

そう考えると、今はもっと増えていると考えてもおかしくないですね!

さらに、日本食レストランや寿司屋でラーメンを提供しているお店もあるので、ラーメンを食べられるお店を数えれば、数はより多くなりそうです。

1-2.ニューヨークではラーメンブームも!

newyork

「でもそれって「日本食の中で何が好きかと聞かれたらラーメン」ってだけでしょ?」と思った方もいるかもしれませんが、実はそうではないんです。

ラーメンは、「いろんな食べ物がある中で、ラーメンが好き」という人気ぶりなのです。

それを表すのが、世界の中心であるアメリカのニューヨークで2000年代に起きたラーメンブーム

韓国系アメリカ人が作った”Momofuku”というラーメン屋がきっかけとなり、最先端のものを好むニューヨーカーの間でラーメンはどんどん食べられるようになりました。

そこから一気に人気が広まり、「一風堂」や「一蘭」といった日本のラーメンチェーン店も次々に出店し、アメリカ国内でラーメンブームはどんどん広がっていったのです。

1-3.海外で人気の味はとんこつラーメン

Tonkotsu

海外で人気の味は「とんこつ」ラーメン!

日本食と言ったらしょうゆや味噌が人気じゃないの?と意外に思った方もいるかもしれません。

新横浜ラーメンが取材をし、とんこつラーメンが人気の理由を調べたところ、「しょうゆや味噌はなじみの味だけど、とんこつは未知だから」という理由が挙げられたそうです。

海外では、いろんな日本食に使われているしょうゆや味噌はもう「なじみの味」なんですね!

一方、「とんこつ」という味はラーメンにしかないので、せっかくだしあまり食べたことのないとんこつを食べたい!という人も多いのかもしれませんね。

その他、同調査によると、やはり食べた人の満足度が高く、「とんこつラーメンはおいしい」と認識されているところも大きいそうです。

とんこつの味が、海外の人を魅了しているんですね。

2.日本のラーメンと海外のラーメンの違い

ramenx2

海外で人気を博すラーメンですが、海外の人たちが食べて「おいしい」と思っているラーメンは、私たち日本人が食べているラーメンと同じなのでしょうか?

ここでは、味や値段、食べ方など、日本のラーメンと海外のラーメンの違いを見ていきましょう。

2-1.味の違い

まず一番大事なラーメンのお味において、日本と海外のラーメンで違いはあるのでしょうか?

2-1-1.「とんこつ」「しょうゆ」など基本の種類は同じ

ramentypes

ラーメンの味を左右する「スープの味」は、日本も海外も基本的に同じです。

しょうゆ、みそ、塩、とんこつ」など、日本にあるスープの種類が、海外でも基本のラインナップとなっています。

日本のラーメンの味の種類は別記事でも紹介しているので、そちらも見てみてくださいね!

2-1-2.アメリカやヨーロッパはベジラーメンがある

vegan

日本でラーメンというと「がっつり、こってり、カロリー」のイメージがありますよね。

一方、欧米では、ベジラーメンを置いているお店が多くあります。

宗教やその他の理由でお肉を食べない人も多い、多文化のアメリカやヨーロッパならではのメニューですね。

2-2.食べ方の違い

howtoeatramen

・日本では早く食べる一方、海外ではお酒や前菜も楽しみながらゆっくり

日本でのラーメンは「早い」が基本。席に着いたら2,3分でラーメンが出てきて、カウンターでもくもくと食べるのが主流です。

一方、海外のラーメン店はその真逆。日本でのバーやレストランと同じように、ゆっくりと時間をかけて楽しみます

ディナーの時間帯だったら、まず席についてお酒と前菜をいただきます。ラーメン屋さんでは餃子などが人気の前菜です。

そのあと、メインディッシュとしてラーメンが運ばれてきます。これを、フレンチのお肉をゆっくり楽しむような感覚でゆっくり、お酒とおしゃべりを楽しみながら味わいます。

日本人からすると「麺がのびちゃいそう…」と思いますが、そういった感覚はあまり外国の人にはないようです。

なので、お店の滞在時間も「数分」ではなく「数時間」。

しっかりと予約をして、おしゃれなディナーとして来る人や、誕生日を祝う人も多いです。

2-3.値段の違い

・海外ではラーメン一杯2,000円のお店も

日本でラーメンの値段というと、一杯800〜1000円くらいの感覚ですよね。

海外のラーメン店は、お店にもよりますが日本より高めの設定のところが多く、高いところでラーメン一杯2,000円するお店もあります。

前述の通り、ラーメンはもはや「早い」の代名詞ではなく、海外では「ディナー」として予約して訪れる人も多いので、これくらいの価格帯でも受け入れられているのかもしれません。

日本では790円で食べられる一風堂のラーメンも、ニューヨークでは20ドルです。(2022年5月現在)

2022年5月現在は円安が急速に進んでいるので、円換算するとなんと2,600円!

海外では気軽に入れない存在になってしまいそうですね。

3.海外でラーメンが人気の理由

iekeiramen

どうしてラーメンは海外でここまで人気が出たのでしょうか?そのきっかけを探っていきましょう。

3-1. インスタントラーメンから始まった日本のラーメンの海外進出

instant noodle

今では海外に何店舗もあるラーメン屋さんですが、その始まりは家で手軽に食べられる「インスタントラーメン」でした。

インスタントラーメンの簡単な歴史は、次の通りです。

  • 1958年 安藤百福が生み出した「チキンラーメン」が世界に広がる
  • 1971年 日清食品がアメリカで「カップヌードル」を発売

そしてカップヌードルの生みの親である日清食品によると、2021年に発売50周年となるカップヌードルは、全世界100カ国で、累計500億食を突破しました。

500億食も販売しているなんて、すごいですよね!100カ国もの国々で販売される、もはや世界中で日常生活に欠かせない存在となっているカップラーメン。

海外での旅行中や海外在住の方は、日本食が恋しくなって海外のスーパーでカップラーメンを買ったこともあるのではないでしょうか。

インスタントラーメンが、ラーメン人気の始まりだったことはいうまでもないでしょう。

参考:経営論集 第 24 巻第 1 号 2014 年 1 〜 28 頁「即席麺の国際経営史─日清食品のグローバル展開─」

経営論集 第 24 巻第 1 号 2014 年 1 〜 28 頁「即席麺の国際経営史─日清食品のグローバル展開─」

日清食「「カップヌードル」ブランドが、発売50年目に世界累計販売500億食を達成」

3-2. ラーメン人気はアニメや映画からも広まった

ではラーメン人気が広がるきっかけとなったのはなんだったのでしょうか?

実は、映画やアニメがきっかけでラーメンのことを知ったという人が多いようです。

海外でも大人気のアニメ「NARUTO」では、主人公のナルトの好物がラーメンで、美味しそうに食べる姿を見て「ラーメン食べてみたい!」と思う人もいたそうです。

また、アメリカでは『タンポポ』という邦画が、アメリカの人々のラーメンに対する意識を変えました。

『タンポポ』は、長距離トラックの運転手が、ひょんなことから売れないラーメン屋を立て直すという日本のコメディ映画。

それまでインスタントラーメンの「安さ」や「簡単さ」をラーメンだと思っていたアメリカの人々が、ラーメンとは「丁寧に作られ、お店でしっかりと味わいを楽しむもの」だと認識を変えるきっかけとなった映画です。

4.世界の地域ごとのラーメン事情

「海外」でラーメンが人気と言っても、世界は広い。ラーメンの楽しみ方は地域によって異なります。

ここでは大きくアメリカ、ヨーロッパ、アジアの3地域に分けて、各地域のラーメン事情を紹介していきます。

4-1. アメリカ

america

前述の通り、アメリカでは2000年代にラーメンブームが起きるほどの人気っぷり。

そのブームはニューヨークから始まりロサンゼルスへと広がり、その後アメリカ全土でラーメンは人気を博しています。

新横浜ラーメン博物館によると、2014年時点でアメリカには400店舗以上のラーメン店があるとされています。

アメリカには多くのラーメン店があるだけあって、味の種類も豊富です。

定番のしょうゆ、とんこつだけでなく、二郎系鶏ダシ激辛ラーメンなど、味にこだわり抜いた本格派ラーメンも増えてきています。

さらには、ラーメンの麺で生地を作ったピザやタコスまであるのだとか。

さすがは自由の国・アメリカ。元の形にこだわらず、斬新なアイデアでいろいろな食べ方が楽しまれているようです。

4-2. ヨーロッパ

europe

新横浜ラーメン博物館によると、2014年時点で250店舗以上のラーメン店があるとされているヨーロッパ。

ヨーロッパの中でラーメンの魅力にいち早く目をつけたのはイギリス・ロンドンでした。

また、ヨーロッパの主要国であるフランスやドイツにも多くのラーメン店があります。

日本の企業が駐在員を多く送り出しているヨーロッパでは、駐在員をターゲットにお店を始め、徐々に現地のお客さんが増え、繁盛したお店も多いそう。

ヨーロッパでもラーメンブームが来ており、パリやイギリスには行列のできるお店もちらほら!

ヨーロッパでのラーメンのスタイルは、レストランとしてゆっくりお酒や前菜とともにラーメンを楽しむスタイルが主流です。

ヨーロッパのラーメン事情は「(ヨーロッパ ラーメンのリンク貼る)」で詳しく紹介しているので、ぜひ見てみてくださいね!

4-3. アジア

asia

ベトナムのフォーやタイのパッタイなど、ラーメン以外にもいろいろな麺料理があるアジア。

そんなアジアでも、日本のラーメン店は大人気!

新横浜ラーメン博物館の情報によると、アジア全体では1000店舗ものラーメン店があるとされており、そのうちシンガポールに148店舗、中国に125店舗あるそうです。

また、タイのバンコクはラーメン激戦区と言われており、さまざまなラーメン店が競い合っています。

一方、アジアの一部の国では、お店で食べるラーメンではなく「低価格で食べられるインスタントラーメン」がまだまだ根強い人気です。

世界ラーメン協会によると、インスタントラーメンの消費量は

1位 中国&香港 463.5億食

2位 インドネシア 126.4億食

3位 ベトナム 70.3億食

4位 インド 67.3億食

と、アジアの国々が上位4位を占めています。

アジアでは、「安く買える食べ物」の代名詞でもあるインスタントラーメンが主流の国がまだまだ多いようです。

5.海外進出している日本のラーメンチェーン店

海外で活躍するラーメン店の多くは、現地の外国人もしくは日本人が立ち上げた個人店が多いですが、その一方、日本で有名なラーメンのチェーン店も海外展開を広めています。

ここでは、海外進出している代表的な日本のラーメンチェーン店をご紹介します。

5-1. 一風堂

ippudo
出典:Ippudo US 

海外進出しているラーメン店としてもっとも知られているのが、福岡発祥のとんこつラーメン「一風堂」

アメリカ、イギリス、フランス、中国、台湾、香港、マレーシア、タイ、フィリピン、インドネシア、ミャンマー、ベトナム、シンガポール、オーストラリア、ニュージーランド…

なんと、海外15カ国にも進出しています!

それだけでなく、一風堂では“project ZUZUTTO”と題して、ラーメンの麺を「ズズッと」すすることを世界へ広げていく活動も行っています。

まさに、ラーメンという文化自体を世界へ広めて行くことに貢献している企業ですね。

5-2. 一蘭

ichiran
出典:一蘭

同じく福岡発祥の天然とんこつラーメン「一蘭」。

一蘭はアメリカ、香港、台湾などに7店舗のお店を構えています。

一蘭といえば有名なのが、隣の人の席との間にパーテーションがある「味集中カウンター」。なんと、海外の店舗でもこの「味集中カウンター」を取り入れているそうです。

ラーメンを仲間と楽しむスタイルで食べるアメリカの人たちにとっては、斬新で驚きのアイデアかもしれませんが、日本の一蘭のシステムをそのまま海外でも引き継いでいるのはうれしいですね。

5-3. 山頭火

santouka
出典:山頭火

山頭火は北海道・旭川発祥の白湯(パイタン)スープが人気のお店。

なんと、売上高全体の約8割が海外の店舗での売り上げだそう。日本国内よりも海外で広く活躍しているんですね。

山頭火はアメリカ、カナダ、香港、台湾、シンガポール、マレーシア、フィリピン、タイに全部で45店を展開しています。

今回ご紹介したのは3つのラーメンチェーン店のみですが、他にも海外展開しているお店もあります。

なじみのあるラーメン店の看板を海外で見つけたら、つい入りたくなってしまいそうですよね。

6. 海外流のラーメンの食べ方も楽しんでみよう

世界各地で食され、愛される日本食・ラーメン。

日本とは食べ方や味が違う部分もあり、文化の違いが出ていておもしろいですよね。

郷に入っては郷に従え、ということで、海外でラーメン店を見つけたら、ぜひ海外風にアレンジされたラーメンを海外風に楽しんでみるのはいかがでしょうか?